Day 89 難攻不落のなにわのコピー屋 埼玉県警児ポルチーム栄光の軌跡 3
「アイツは手ごわい相手だった・・・」
とブチョーが振りかえる児童ポルノ販売業者は、PGFでも宇都宮さぽーと白書の番長でもなく、
もちろん、スタービーチ援交のsithでもなかった。
「たんなる販売業者。お前ら言うところのコピー屋さんだ。」
通常、コピー屋は発送に同じコンビニや同じ郵便局を使っている、とブチョーは言うのだが、
「自殺行為でしょう。」
「確かに、オリジナル(販売業者)の奴らはもう少し注意を払ってたな。
でも、毎回違うところから発送する奴はほとんどいない。最近だとお前だけだ。」
警戒心の強さは、ココロの弱さの裏返しとも言える。
だが、毎回同じ場所から発送する度胸の源を、果たして心の強さと言い切れるのか?
当時は、天下のYahooオークションで、児童ポルノDVDのコピー物が堂々と出品される暗黒の時代、
そこまで注意を払う必要なんかないさ、とタカをくくる児童ポルノ出品者たちがいたとしても、
なんら不思議ではないが、そこには、慎重に慎重を重ねて注意深く販売を行うクレバーな出品者たちもいたらしい。
「ブツを宅配業者に持ち込む末端の人間は、何人も捕まえた。だが、その上が捕まえられなかった・・」
なんでも、末端の人間が受取りに使う空き家の郵便受けに配達される前の行程(ブチョーもこのあたりはボカして話した)が、からっきし不明だったらしい。
「正直、あきらめかけた。他の県警も同じだったと思う。
仕方ねえから、最後の悪あがきに、奴の顧客との通信記録を再度さらってみたら・・・」
たった一つだけ、匿名ではないモノが見つかったという。
うっかりミス、ってヤツだろう。私にも憶えがある。小さなミスだが代償は大きい。
「調べてみたら、大阪城近くのマンションで、驚いたことに住んでる奴もいた。」
とりあえず、見にいくと・・・
「まずオレたちはな、電気のメーターを見るんだよ。DVD複製って意外と電気使うもんだぜ。」
メーターのまわり具合を見たブチョーは、「コイツにまちがいないと確信した。」
捕らえてみると、億単位の稼ぎだったらしい。
「コピー屋の方が稼げますね。」
「警察の目は、どうしても製作者の方へ向かうからな。」
ちなみに、sithがなかなか逮捕されなかった理由もそこにある、とブチョーは言う。
「俺たちは、スタービーチ援交を追っていた。捕まえても捕まえても製作者に辿り着かないんで、
いい加減イヤになってたよ。」
「私はブログで、オリジナル製作者だと宣言してましたよ。」
「どいつもこいつも、みーんなウチがオリジナルです、って売ってたんだな。」
要するに、スタービーチ援交はsithより有名だったということなんだろう。
木を隠すなら森の中・・・
昔の人は良いこと言うなぁ。