Day 71 自宅に入ろうとしたところを職質されたオトコ
( ̄ー+ ̄)
「不安そうな顔して、出ていきましたよ。」
明石老人
「みんな、そうだ。誰だって知らないところへ独りで行くときは、不安になるもんだよ。」
確かにそうだ。今は慣れたが、私も留置場に初めて足を踏み入れるときは不安だった。
いずれ拘置所へ移送されるとき、また同じ思いをすることになるのだろう。
そういえば、今日は大男の公判だ。結審するかも、とか言ってたな。
( ̄ー+ ̄)
「公判前日の移管、よくあることですかね?」
明石老人
「どうかな・・・気にしたことがないのだが、慌ただしいことは慌ただしいよね。
でも、確か彼は、寄居署の預かり(他の署の被疑者)だろう?
寄居から来て熊谷往復してからまた寄居に帰るのは大変だよ。」
それはわかる。だが、私にはそれが、あの突然の移管の理由だとは思えなかった。
熊谷拘置所への移送をとめていたのは弁護士だ、
弁護士がリリースしたから移送されたのだ。
して、その理由は・・・?
弁護士費用未払いが関係しているような気がしてならない。
あの男、ハナから払う気が、いや、払うカネがなかったのではないだろうか・・・?
うーん・・・しかし、麹町に事務所を構えるほどの弁護士が、詐欺犯に騙されたりするだろうか。
彼らは犯罪者と接するプロのはず。
わからんねぇ、と明石老人は言った。
1室にいる、留置場で最も怖い人相の男は、友人のケンカを仲裁していただけなのに、
その友人たちを乱暴しているとカン違いされ、通報された。
彼の悩みは、そのいかつい見た目から生じる誤解の多さで、数年前ついに、
自宅に入ろうとしたところを職質される事態が発生するに至り、
真剣に整形手術を考えたという。
「ここ、俺ん家なんスけど・・・」
警察官の中には、雑踏の中の後ろ姿だけで、スリの選別ができる、と豪語する方もいらっしゃるらしいが、
犯罪者と接するプロと言えども、見た目に騙されることがあるのが現実なのだ。
スポンサードリンク
今日、私と同じく早川裁判官に裁かれる55番の初公判が開かれた。
「1回目は、おとなしいもんでしたよ。」
罪状認否での早川裁判官の様子をたずねると、彼はそう答えた。
初公判まで、あと4日。
( ̄ー+ ̄) s:th (シスと発音して下さい)