Day 65 第2回弁護士接見 国選弁護人
ロン毛に言わせると、国選弁護人が公判前に2度も来るのは珍しいことらしい。
「普通は公判前に1回来て終わりだよ。」
「初公判までにもう1回来ます・・・」言ったとおり本当に来た。
だが、来ればイイってもんでもない。私の国選弁護人は、眉間にしわを寄せ私を見据える。
やっとこさ捕まえた凶悪犯と対峙する検察官のようで、不愉快きわまりない。
アンタ、俺を救いたいのか?それとも、なるたけ長くムショにブチ込みたいのかね?
「1点、確認しておきたいんだがね。君は・・・(被害児童)さんとの、その・・・援助交際が先に発覚したのではないね?DVDを売っていたことで逮捕されて、(被害児童)さんとのことがわかったのは、
その後だね?」
念を押すかのように聞いてきた。私が「そうです。」と答えると、
君の再逮捕については問題がある、という。
「量刑に影響するんですか?」
「いや・・・しない。」
急速に興味を失った。どこが問題なのかわからないし、聞きもしないので、国選も話さない。
量刑に影響しないなら、たとえ、あの再逮捕が法律上看過できないものであったとしても、
私にとって問題視する出来事ではない。
そういうところにこだわるのが法律家なのだろうか?
まさか今日の目的はソレだけか?
怒るぞ。
「先生、執行猶予の可能性をどの程度お考えですか?」
「執行猶予?君はそんなことを考えているのか?」
だしぬけに何をぬかすんだコイツは、といった表情の国選は、一瞬の沈黙の後、
メガネをはずし目もとに手をやった。
どシロートの常軌を逸した発言に、急激な疲労を感じたらしい。
「君のような罪名の裁判は、傍聴席から罵声を浴びせられたりするものなんだよ。
悪いことは言わないから、執行猶予なんて考えるのは、やめなさい。」
後から思えば、半分はこの人の言うとおりだった。