Day 111 第2回公判
やはり、出廷には独特の緊張感が伴う。
場数を踏めば、それ相応の落ち着きも出てくるのかもしれないが、
そもそも、あまり場慣れしたくないところでもあった。
初公判のときと同様、
少し早めに到着し、駐車場で待機すると、
留置管理課のブルガリ部長は
なにかの書類を携えて、
裁判所ではなく検察庁の方へ向かった。
その書類がなんなのか、
聞いても、どうせ教えてもらえないだろうから、
どうでもいいやと思いつつも・・・
やはり、気になる。
あの中には何が書かれているのだ?
私の留置場での生活態度か?
初公判のときと同様、
ブルガリ部長は同行室の警官とともに
護送車に戻ってきた。
どういう規則になっているのか知らないが、
手錠の番号と、ロックを同行室の警官が確認し、
そして・・・
「出廷時刻には遅れないでください。それから、
ケイタイ電話の電源OFFを必ず確認してください。」
私を連行する警官2名に対し、注意事項を伝える。
確か、初公判のときも同じ注意事項を伝えていた。
出廷連行の警官は毎回変わるとともに、
毎回初めての人が勤めるのかもしれない。
前回は初公判だったので、
ブルガリ部長から、初心者向けのアドバイスがあった。
「初めてだよな・・・?
最初に、前に出てきなさい、って言われるけどよ。
証言台のイスには絶対、手をかけるなよ。
アレは裁判官から、座ってください、って言われたときだけ、
座っていいものだからな。
勝手に座って怒られる奴とか、いるからよ。
早川判事は、特にうるさいからな。」
今回は特にアドバイスはなかった。
ありがたいことに、この間ずっと、
ブルガリ部長はエンジンかけっぱなしのエアコンON、である。
ウワサによると、他の警官はエンジンOFFらしい。
些細なことではあるが、こういう気遣いも
ブルガリ部長の人気の一因なのだろう。
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法廷に入ると、被告席に着くか、着かないうちに、
裁判所書記官が飛んできて、どうしても公判前に受け取っていただきたいということです、
と言いながら、追記訴状を差し出してきた。
さらに、この場で指印を押せという。
随分と乱暴な手続きですな、とつぶやいてみたものの、
よく考えてみれば、原因は書記官ではなく、大谷検事に他ならない。
これも嫌がらせのひとつなのだろうか・・・
開廷すると、早川判事は、上がったばかりの訴状を審議するわけにはいかないので、
訴因変更の分だけを審議すると宣言し、大谷検事が訴因変更の部分を朗読した。
「間違いありませんか?」
起訴状のあげかたに間違いはないのでしょうか・・・?
「・・・間違いありません。」
第2回公判は、この後、次回公判の日時を決め、
なんだったんだろうと思うほど、
あっけなく閉廷した。
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