Day 101 公判検事不在のさいたま地方裁判所川越支部
「・・・というわけなんですよ。」
早速、運動時間を利用して、ヒデさんに事の次第を報告した。
児ポル法が改正(私にとっては改悪だ)されていて、
罰則の上限が3年から5年にハネ上がってました、と。
「それで、最高7年半ということですか、併合罪1.5倍して。」
「それでも、猶予で出られる可能性がゼロではないですよね?
公判の書類は簡易裁判所から送られてますし・・・」
このときのオレ、必死だ。
「?」
不思議そうな表情のヒデさん。
「・・・自分の召喚状も簡易裁判所から送られてきてます。同房の他の人もです。
多分、全員の召喚状が簡易裁判所から特別送達で送られてきてると思いますよ。」
‼︎
すぐに、スパイに確認をとる。
運動時間にはタバコの火付け役として、警備の警官の中に留置場看守が必ず1人はいた。
今朝はスパイだった。
「オレも詳しくは知らないけどさ、川越裁判所は支所だから、普通は、地裁や家裁が送るものも、
みんな簡易裁判所の名前で出してる可能性は高いよね。規模がちっさいのよ、浦和なんかと比べるとね。
それと、これも支所だからかもしれないけど、
川越裁判所は、取り調べ担当の検事さんが法廷に立つだろ?・・・」
そうだ、検察庁での取調べも、冒頭陳述も、どちらも大谷検事がやった。
「・・・他のところ、というか、
普通、公判には取調べの検事さんとは別の検事さんが立つんだよ。・・・
公判検事、っていうんだけどさ。」
‼︎ しっ、知らなんだ・・・
「昨日の六法のハナシもそうだけど・・・49番はヘンなことを気にし過ぎだよ。
やったんだろ?冤罪じゃないよね?もう、あきらめてさ、どーんと構えて判決待てば・・・?」
ここまで言われてしまうと、照れたり、あるいは、
怒りを装ったりして、その場を取り繕う小賢しさなどオモテに出せるはずもなく、
周囲の嘲笑にさらされながら、ただただ立ち尽くすのみであった。
人間としての底の浅さを指摘されたようで、穴があったら入りたかった・・・
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