Day 36 特別で緊急な移管申請
警察の捜査が終了するまで、被留置者は移送されない。
代用刑事施設の留置場から拘置所への移管は、
警察署から検察庁への移管申請がされた後、
検察官の指示で行われていた。
捜査終了の報告を受けた留置管理課が検察官に移管を申請を行うのだが、
申請後すぐに移送されることはまずないらしい。
移管後に取り調べる(来庁調べというそうだ)手間を考えると、
検察官も慎重にならざるを得ないのだろう。
だが、明日の移管のため、異例の夕食後の荷物調べを行っている兄さんの場合、
申請書は本日提出されたのだという。即日移管決定。異例中の異例だそうだ。
メガネの看守
「俺も今まで知らなかったんだけど、特別だか、緊急だか言う移管申請書があって、
今回はそれが出されたんだってさ」
要するに、扱いに困る被留置者を排除するための奥の手だ。しかし、
( ̄ー+ ̄)
「拘置所の方でも迷惑でしょう、あんな人押し付けられちゃ、ね」
ところが、拘置所には留置場にはない特殊な拘束具等もあるし、
規則的にもはるかに対処しやすいのだそうだ。
今思えば、多忙な大谷検事がわざわざ来署してまで調べを進めていたのは、
兄さんをとっとと移管させるためだったのだろう。検察官はどこまでもクレバーだ。
当時、移管前夜は最後の取調べ(別名:面倒見)と称して、
取調官が牢から出してくれることが多々あった。
喫煙被留置者は明日の移送とともに禁煙(一生吸えなくなる奴だって中にはいるだろう)になるので、
明朝の運動時間の2本を残して残りはすべて吸わせてやろう、という取調官の温情である。
しかし、それは規則でも義務でもなんでもない。
最後まで手を焼かせた狼藉兄さんは消灯まで望みを捨てなかったが、
遂にお呼びはかからなかった。
( ̄ー+ ̄) s:th (シスと発音して下さい)