逮捕
大量の段ボールとともに、川越警察署に着いたのは、22時くらいだったと記憶しています。
警察署の中は暗く、人もあまりいませんでした。
想像通りの取調室に通されると、いきなり食事について聞かれました。
捜査員の方々もお疲れだったと思いますが、私も疲れ切っていました。
想像がつくと思いますが、食欲なんざまったくありません。
しかし、ここでむげに断ると面倒なことになりそうな気もしたので、
とりあえず、カレーでも頼んでおくか、と財布を(この時点ではまだ、手錠はされていませんでした。
腕時計も財布も喫煙さえもフリーでした)取り出すと、捜査員は、
こちらで用意するからカネはいい、この中から選んでくれ、と
お弁当屋さんのメニューを机上に置きました。
ただし、価格には制限がありました。たしか・・・400円まで、だったと記憶しています。それを聞き、
わざわざ血税で買うことはないでしょう、どうせ食わないんだから、という気持ちの強くなった私が、
夕食の提供を丁重にお断りしたところ、1分ほどムダな時間を費やしましたが、
最終的に官が折れました。そして、私の記憶が正しければ、
夕食の押し問答の次に、身上調書という書類作成になったのです。
取調官は紙を出しながら、「空いているところを埋めてくれ」と言いました。
その紙は、生年月日と出身地から始まり、現在の職業までを網羅した、
生まれてから今日までの自分史のような内容で、ところどころスペースが空いていました。
自分のことですから、簡単に完成できるように思えるかもしれませんが、
最後に履歴書を書いたのはいつだったか忘れるくらいの年齢です。
それなりに記憶を辿りながらの記入になりましたので、思いのほか時間を要しました。
それが終わると、上申書を書くように言われました。当時、非常に疲れていたためか、
内容に関して記憶がうすいのですが、川越警察署長宛てに、
自由に書くことを許されたことは憶えています。
これも作成に時間がかかりました。ようやく書き終えると、
若い刑事がやってきて、腕時計を見ながら時間を告げ、
「手錠はかけないけど、逮捕ね。じゃ、留置入ろうか。」と言って手首のあたりに手を置きました。
後で聞いた話ですが、彼はsithの逮捕を自ら志願していたそうです。
ようやく終わったと思いましたが、実は始まりでしたね。
( ̄ー+ ̄) s:th (シスと発音して下さい)