家宅捜索
「わかってるな?」
数人で押さえつけたまま、警察官は繰り返し訊ねてきました。
もちろん、わかっていますが、無言です。なんと答えていいのか、わかりません。
最終的に、うなずきましたが、結果として正解でした。後々の説明によると、
あの状況で否認すると、逮捕状を突きつけられ、場合によっては手錠をはめられてしまうそうです。
大した違いはないじゃないか、と思う方がいるかもしれませんが、任意と強制には天地の差があります。
任意の場合、周囲の目に対する配慮をしてくれます(本当です)が、強制はお構いなしの晒し者です。
私は観念して、「ちょっと、部屋の中、見せてもらえるかな?」にも同意しましたので、
手錠もなく、ジュースを飲みながら家宅捜索を眺めていました。
さらに、証拠品押収後、「じゃ、行こうか」と川越署に移動することになったときも、
着替えをバッグに詰めて携行することが許されました。
未経験の者はそういうモノが必要なことすら知りません。任意というものは、実にいいものです。
私服警官は、当初、7、8名で、女性が1名いました。後々の説明によると、
被疑者宅に女性がいた場合に備えて婦人警官を帯同することは特別なことではないそうです。
ブチョー
「裸のオンナがいるかもしれないだろ? それに大捕り物に発展したとき、
触っただのなんだのとややこしいことになるよりは、
女の子1人連れてく方がなにかと都合がイイんだよ。」
この後、1時間以上遅れて、いかにもボスキャラといった風格のオヤジがやってきました。
「係長」か「課長」と呼ばれていた気がしますが、現場を仕切っていたのは、このオヤジではなく、
「主任」と呼ばれていた人でした。
主任は、他の私服警官が引っ張り出してきた私の持ち物を、
一瞥して仕分けするのが主な任務のようでした。
時折、「ニンテイ」という気になるワードが聞こえてきました。
「認定」なのか、「任意提出」の略なのか、私にはわかりませんでしたが、主任が、
「これはニンテイだからね、間違えないでね。」と強調していたことが、妙に印象に残っています。
やはり、「任意提出」の略なのではないでしょうか。
家宅捜索の目玉はDisc25でした。捜査員の会話の中に、度々その名前が出ていたので、
真剣に探しているようでしたが、なかなか見つかりません。それはそうでしょう。
Disc25には「Disc25」とは書いてありませんでしたから。しかし、それは彼らの目の前にありました。
Disc25は、プレミアム会員(以下、P会員)専用作品群のサンプルDVDでした。
隠していたのではありません、聞かれるまで答えなかっただけです。
DVDの他、デスクトップ、ラップトップ、カメラ、さらには親父バイブを含む撮影小物等、
およそハメ撮りに関わるモノすべてが、モノによっては非常に丁寧に梱包され、
アジトから運び出されました。
鍵をあけるとき、「自分の手であけてくれ」と言われましたが、
最後に閉めるときも、「自分の手で閉めてくれ」と言われました。
あれは、たまたまだったのでしょうか、いつものことなんでしょうか、
「次、このドアをあけるのはいつになるんでしょうね・・・?」
何気に口にしましたが、何の反応もありませんでしたね。
( ̄ー+ ̄) s:th (シスと発音して下さい)