代用監獄川越署留置場の運動
川越署の留置運動場は半屋外に設置されていました。
ドアを開けて屋外に出て見上げると、
金網越しではありましたが、空が見えます。
自衛隊の基地も、米軍基地も、
さほど遠くないところにあり、
運が良いと、軍用機を目撃することもありました。
運動場や、そこに向かうまでの経路は、
数名の警備の警官が要所要所に立ち、
そのほとんどは、昨晩から勤務している人たちだという噂で、
その言葉通り、妙に疲労感を漂わせた人たちが多かったと記憶しています。
ですが、疲れた顔と眠そうな顔は根本的に違います。
警察官は24時間闘っているのです。
箱とチャッカマンを持っているのは、大抵、見慣れた顔の留置場看守で、
箱の小さな仕切りのいくつかに、タバコが2本さしてあり、
喫煙被留置者は自分の番号の仕切りからタバコを抜いて吸います。
灰皿は水を張った古い洗面器です。
前科多数の被留置者
「まぁ、どこでも同じような作りだし、似たようなもんだよ。」
喫煙以外に、爪切りと、電動カミソリを持ち込んだ者は髭剃りが可能でした。
ようするに、運動している者なんか、1人もいませんでした。
悪巧みを企てている人たちはいましたな。
前刑服役中のムショで計画された、川越某所の資産家宅金庫を狙って返り討ちに遭いながらも、
次の出所後のシゴトに向け、留置場で筋トレに励んでいた方が、相棒を探していました。
「青森の医者なんだけどさ・・・全国から患者が来てて、金庫にカネがうなってるんだよ・・・」
出所後のターゲットはすでに決定してました。
青森県ｘｘ市のｘｘ病院の院長の自宅・・・ある分野の権威である院長自らが施す治療を受けんがため、
全国から訪れる患者の数は、千を越えるととも言われているそうですが、
だから、って金庫でカネがうなっているとは限らないように思えるのですが・・・
残念なことに、次の犯罪計画は、前刑を償う時間に立てられているのが現実でした。
運動は強制ではないので、出なくても良いし、終了前に房に戻るのも自由でしたが、
他の房の者たちと会話できる機会をムダにする奴など、ほとんどいませんでしたね。
(￣ー+￣) s:th (シスと発音して下さい）
